RIMS (Risk and Insurance Management Society) 参加報告

2015年05月19日

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RIMS (Risk and Insurance Management Society)が主催する本年4月(26日―30日)に開催されたリスクマネジメントの世界大会に参加しました。

RIMSは米国ニューヨークに本部を置き、米国・カナダを中心に世界60ヶ国に12,000名のメンバーを擁する世界最大のリスクマネジメント推進組織です。主たるメンバーは、企業のリスクマネージャー、保険ブローカー・代理店、各種コンサルタントで、RIMSに因ると、従業員1万人以上の米国企業の70%、年間売上1,000億円以上の米国企業の40%が会員になっているそうです。日本にも米国外で最初に承認されたRIMS日本支部が存在します。

彼らのミッションは、企業活動の成功のために、より優れたリスクマネジメント技術の向上にあります。具体的には、メンバーのリスクマネジメントに関する知識の向上と推進、最新の情報提供や交換、メンバー間のネットワーク作りの機会を提供することです。

今回参加した世界大会は、年に1度開催される最も規模が大きいイベントで、世界中から約10,000人が米国ニューオリンズに集まりました。日本からの参加者は米国駐在員を含めて約50名と全体の1%にも及ばず寂しい限りです。この数字からも、日本のリスクマネジメントに関する認知度や知識の遅れが判断出来ます。

今大会の主な内容は、

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1.出展ブースによる情宣活動
保険・再保険会社、ブローカー、コンサルタント会社、各種サービスプロバイダー、キャプティブ推進国は、自社商品/サービスや各国のメリットを夫々の展示ブースや個別セミナーで情宣しました。(387ブース)

2.基調講演会
他業界(著述家、コンサルタント、マスメディア)から3名のゲストスピーカーを招聘し、自身の経験や知識を共有しました。私は、元ウォルトディズニー役員の経営ノウハウの講演を聴講しました。そのエッセンスは、CEOは人財に重点を置き、顧客との関係を強化し、常にイノベーションを追究し、事業のオペレーションレベルの向上を目指すべきとの内容でした。

3.リスクマネージャーオブザイヤーの表彰とパネルディスカッション
リスクマネジメントの普及に貢献した人物を表彰すると共に、リスクマネージャーのパネルディスカッションを行いました。今回は、新興リスクに対する企業の緩和対策、リスク移転方法についてベストプラクティスを基に討議されました。

4.教育セッション
保険・再保険、保証、金融派生商品、企業ガバナンス、コンプライアンス等、聴講者のレベルに応じたワークショップやクラスの開催。(220クラス)私は、7つのクラスに出席しました。鉄道会社のリスクマネジメント担当者が、キャットボンドの発行で、ハリケーン被害のキャパシティを競争力の有るプライスで確保した成功談や、定量的にリスクマネジメントの判定基準を作り上げるシステム構築のクラスは、興味深い内容でした。

その他、1.の企業や国々が、既存顧客とのリレーションシップ強化や新たなネットワーク作りの為に、ランチやディナーを個別に開催しました。

このイベントを単なる“お祭り”と言う方もおりますが、個人的にはリスクマネジメント知識の向上、最新情報の入手、業界関係者との意見交換、新たな人脈作りが出来、有意義なイベントで有ったと確信します。来年は4月11日―13日まで、サンディエゴでの開催予定です。